森の片隅で
ヴォージュの森の奥深くに眠るミュンツタール渓谷。「森の安らぎは魂の安らぎ。森は魂の状態」というガストン・バシュラールの言葉を思い起こさずにはいられません。珪砂(シリカ)、シダ類から採れるカリウム、薪や川の水――ガラスづくりに欠かせない資源を求め森から森へと移り住んでいたガラス職人たちは、16世紀、この地に魅せられて炉を開き定住します。サンルイ工房を取り巻く森は、大自然の恵の宝庫であり豊かなイマジネーションの源泉でもあるのです。
森は家、森は砦
森はサンルイにとってなくてはならないもの。家であり砦でもあります。サンルイには、かつては徒歩、現在は車で、外の世界から工房を守るように横たわる深い森を越えて行かなくてはなりません。森は人の手で育まれてきた「樹木の大聖堂」。冬ともなると、密に植えられた樹々は霧に覆われ一条の光も通しません。
森という時空
1975年以降、国有となったサンルイの森。工房のあるサン=ルイ=レ=ビッチュ村の500人の住民は、秋の霜が降りる頃には薪を切ったり、キノコ狩りを楽しんだり、今も昔も変わらず豊かな森の恵みと共に暮らしています。北ヴォージュ自然公園の一部となったサンルイの森では、2本の脚で立っているように見える樹や、巨大な魔女の指を思わせる根を持った樹などの希少な景観に出合うことができます。
〈フォリア〉コレクション
ノエ・デュショフール=ローランスによるコレクション〈フォリア〉。デザイナーにとってサンルイ工房と森を巡る初の大冒険となったコレクションは、多彩なアイテムから構成されています。自然を愛し、鋭い造形感覚を持つデザイナーがインスピレーションを得たのは工房を取り巻く森のなか。クリスタルと樹々が宿す力を鮮やかに結び合わせ、シンプルに厳選されたラインが現代の私たちの暮らしに寄り添うコレクションとなっています。
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